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元外為ブローカーの税理士への道のり
ロックバンド、外為、FP、そして税理士へ・・・そんなオヤジのあれこれです。
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「マネー・ロンダリング」 橘 玲 著
 今年のお盆期間は時間が取れたので、長編小説を読みました。橘玲著の「マネー・ロンダリング」。せっかくのお休みで読書、といってもこういうタイトルを選んでしまうのは、一種の職業病でしょうか。

 本書の読みどころの1つは、マネー・ロンダリングを含め、当局に捕捉されないような資金の移動のスキームでしょう。解説を書かれた大阪国税局総務課長であった玉木氏も感心するレベルにあります。この実践に限りなく近いスキームを基に話が展開していくことにより、読者に緊張感を持たせていたのでしょう。小生も話に引き込まれ、文庫本550ページもあっという間に読み終えました。

 初版が発行されてから13年が経過していますので、ここに書かれているスキームがそのまま使えるということはないでしょう(使えたとしても、法に触れることもあります)。マネー・ロンダリングだけでなく、租税回避、税逃れ対して、OECDをはじめ各国の協力体制ができてきています。

 とはいえ、この世界はスキームを作る側と当局と間で法の網をくぐるスキームを作れれば、その穴を埋める法を制定するという「いたちごっこ」がこの先も続くのでしょう。

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読書後記:「赤い三日月」 黒木亮:著
 年末年始に多少は時間が取れるので、久しぶりに長編の経済ものを読みました。黒木亮の「赤い三日月:小説ソブリン債務」です。作者の黒木氏は銀行、証券会社、総合商社に勤務され金融関連の小説を多数お書きになっています。

 「赤い三日月」は1990年前半のトルコを舞台としたファイナンスの物語。邦銀ロンドン支店のトルコ担当者がトルコの国内情勢に振り回せらながら案件を成立させていきます。時には本店とトルコとの間に挟まれながら、粘り強い交渉力によって局面を打開していくというハラハラドキドキの場面もあります。

 この小説はIMF幹部の雑談で終わるのですが、私はこの部分が肝なんだろうと思います。常々、アメリカがIMFや世界銀行へ介入し、これらの機関を通して世界を牛耳ろうと考えているだろう、それゆえ金融危機などには仕組まれた部分もあるのだろうと感じていましたので、この幹部たちの会話には「なるほどね。やはり背後にはそういうことがあるのね。」などと妙に納得してしまいました。

 
読後感想文 『喜嶋先生の静かな世界』(著:森 博嗣)
本のタイトルは馴染みが無いかもしれません。ゲーム理論の研究で有名な安田洋祐氏が新聞の推薦図書欄にこの本のことを書かれていたので、早速手に入れました。

何とも心地の良い、まるであるリズムに乗ってページが読み進んでいくような感じでした。主人公が大学~大学院時代に多大なる影響を受けた喜嶋先生を通して「研究とは」「学問とは」を示している1冊だと思います。愚直にそして無邪気に研究に没頭する喜嶋先生、しかしそこには全くの押しつけや嫌味が無く、言葉の一つ一つが気持ち良く体の中に浸み込んでくるようです。

読後感想 『金利を読む』(著:滝田洋一)
 今週末開催予定の講演会に講師としてお呼びすることもあり、日本経済新聞編集委員の滝田氏の著書を読みました。低金利ならぬ超低金利時代、預金をしてもほとんど利子が付かず、また住宅ローンのように年率1%以下でお金を借りることができる今日、金利に対する認識が薄らいでいるかもしれません。

 『この金利を読む』は、そもそも金利とは何かということを『罪と罰』『金色夜叉』『半沢直樹』『ナニワ金融道』などに登場するエピソードも紹介しながら分かりやすく解説をしています。世界的な低金利時代だからこそ読んでおいても良い一冊かと思います。

 平成26年度の国債発行額は181兆円にも上ります。つまり金利の上昇は国債の利払い負担に直結してきます。(国の借金が1000兆円程あるので1%の金利の上昇で10兆円の利払いが増えると言っている方がいますが、これは違いますよね。すでに発行した債券の金利は原則発行時に決まっていますので、発行済みの債券は金利が上昇しても利払いが増えることは基本的にはありません。)それにでも180兆円の1%は1.8兆円。決して小さくない金額です。

 今日のような低金利の時期は、お金を借りている方は利息の負担が少なくなるので有利ですし、お金を貸したい方は受け取れる利子が少なるので不利という簡単な図式が考えられます。この点に関して『金利を読む』ではこの点について具体的な数字を示して解説しています。

 簡単に言いますと、家計の過去の受取利子のピークである1991年の利子所得(38.9兆円)がその後も続いたとしたならば受け取ったであろう合計額から実際の受取利子を差し引いたものを「逸失利子」とすると、1991年~2005年の家計の逸失利子の合計は331兆円(損した分)となるそうです。一方で支払う利息も減っています。同じように1991年の支払利息が2005年まで続いたとしたならば支払わなければならなかった利息の合計から実際の支払利息を差し引いたものを「軽減利息」とすると、この軽減利息は82兆円(得した分)になるそうです。得-損、つまり「軽減利息」-「逸失利息」=249兆円の損ということになります。

 これに対して、非金融法人企業の「逸失利子」は164兆円、「軽減利息」は428兆円です。つまり、428兆円-164兆円=264兆円の得ということになります。

 この2つを合わせると、家計が249兆円の利子を受け取り損ねて、企業法人が264兆円の利息を支払わなくて済んだということです。低金利時代は家計が企業の手助けをしたということですね。

 なんだ、低金利は家計を苦しめて企業を助けたのか、政策って本当にズルいなんて思わないで下さいね。我々の多くがその企業に属しているのですから。

「天佑なり」(著:幸田真音)を読んで
 外資系金融機関で債券トレーダーとして活躍した後小説家に転身した筆者が、国の財政問題をライフワークとし、いくつかの作品を発表しました。「天佑なり」は高橋是清の生涯を綴った上下巻の大作です。

 生後間もなく仙台藩の足軽の家に養子に出され、満足な教育を受けることができなかった高橋是清(生家は川村家、養子先が高橋家)は、ヘボン塾横浜で英会話を学び、なんと13歳の若さでアメリカへ渡りました。ホームステイ先では奴隷として売られる、契約社会の厳しさを知ることとなります。帰国後は官・民でさまざまな職に就きました。英語の教師、官吏、相場師、銀行などなど。官僚としては特許関連の法律の制定に尽力し、特許局の初代局長に就任しています。

 日本の敗戦は間違いないと思われていた中での日露戦争戦費調達のための外債発行は、高橋是清が作ってきた人脈と堪能な英語力と、型破りな発想力、そして持ち前の楽天主義によって、奇跡的にもなしえたことといえます。高橋是清意外にこれを成し得る日本人はいなかったであろうと思えるほど偉業であったと思います。しかし、そんな高橋是清の努力も遠く離れた日本ではそれほど評価されなかったとも記されています。長引く戦争でかさむ戦費のため国家破産の綱渡り状態だった当時の日本国の財政。そんな中での外債発行は財政の救世主以上のものであったはずにもかかわらず、マスコミの偏った報道によってあらぬ誤解から誹謗、中傷を受けることとなってしまいます。時に超越した人間の行動は理解されづらいということでしょう。

 これ以外にもたくさんの功績を成しています。そのどの場面でも彼の幅広い人脈が生かされています。彼が国家のために働き、その彼に手を貸し協力を惜しまなかった人々の数の多さ、幅広さに本当に驚かされました。とてつもなく器の大きな人物だったのでしょう。

 何度も大蔵大臣を務め、難局を乗り越えてきました。その根底には『おのれを空しゅうして国家のために尽くす精神』つまり「欲を持たず国のため」という「大義」がありました。まず考えるべきは「国家の利益」だったのです。

 この「国家の利益」が軍部に理解されず2.26事件で暗殺されることになってしまうのですが、この暗殺後、日本は不況へと落ち込み、大戦への道をまっしぐらに進んでしまうわけで、歴史の皮肉を感じざるを得ません。(もし、軍部が緊縮財政を受け入れていれば財政再建ができたかもしれない。そうしたら、あの不況からも立ち直れたかもしれない。そうであったら、あの大戦は無かったかもしれない・・・)



プロフィール

ロックンロールFP&税理士  本間慶喜

Author:ロックンロールFP&税理士  本間慶喜
大学卒業後、バンド活動をしつつ印刷会社勤務。イギリス留学を経て、外為の世界へ。
東京~ロンドン~シンガポールの外国為替市場で通貨オプションの取引に従事。
CFP・宅建取得,そして税理士へ。
住宅ローンアドバイザー。

趣味:ドラム、落語、刺繍、ウォーキング、読書、最近囲碁も始めました。

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